グランディングパートナーズ|Grounding Partners

中小企業診断士DHが運営するブログです。「仕事」と「幸福」を主軸に、どうすれば経営者と従業員の方が幸せに、かつ生産性を高めて働くことができるかについて、その知識や知見を数々の文献を参照しながらご紹介していきます。

時間かけすぎ? 意思決定を5秒でしたほうが良いケースとその理由

今回は意思決定のスピードがその後の結果の良し悪しに影響するか、というテーマでお話ししたいと思います。

企業において何らかの意思決定を行う際に、社長の鶴の一声ですべてが決まるところもあれば、重役の方々が集まって何時間も議論を重ねて決めるといったところもあるかと思います。

もちろん結論を出すにあたって、時間のかけ方は時と場合に応じて変わると思いますが、概ねスピード重視のところと、熟考重視のところに分かれるのではないでしょうか。

一般的に、時間をかけてじっくり考えた方が最適な結果を得ることができるように思いがちですが、実は時間をかけずに瞬時に意思決定をしたほうが、むしろ熟考するよりも良い結果を得ることができる場合があるのです。

今回は、瞬時に意思決定をしたほうが良い場合と、逆に時間をかけて意思決定したほうが良い場合について簡単に解説したいと思います。

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説得で「弱み」を出すことで得られる4つのメリット

今回は弱みを出すとうまくいく、というテーマでお話をしたいと思います。

 

何か自社の商品といったモノを売りたいと思っているときに、お客さんからその商品の欠点を突かれて思わず「うっ」となる瞬間があったり、社内で企画資料を上司に提案するときに、資料の痛いところを突かれて思わず「うっ」となってしまうことは、皆さんご経験があるのではないかと思います。

 

こういったときに、ついついその場を取り繕う目的で、特に根拠もないのに「いや大丈夫です」というように、言い逃れしてしまいたくなる瞬間もあるのではないでしょうか。

今回は、欠点を隠すのではなく、むしろ潔く認めてしまったほうがうまくいく可能性があるのではないか、というお話をしたいと思います。

 

今回の参考文献は『シュガーマンマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガー』です。

 

本のタイトルのとおりマーケティングに特化した書籍で、今回ご紹介するテーマ以外にも「モノを売る」ための様々なメソッドが紹介されています。

興味のある方は是非書籍もチェックしてみてください。

 

書籍の中では、顧客から欠点を指摘される前に、あらかじめ欠点を開示した方が良いと述べます。

 もし売ろうとしている商品に本当に欠点があるのなら、お客は必ず感づき、気づき、見抜く。あなたは「お客の目なんかごまかせるさ」と思っているかもしれない。しかし、お客はあなたが思っているよりもずっと鋭いのだ。

 だからもし、売ろうとしている商品に欠点があり、それに相手が気づいたり、反応したりする可能性があるなら、最初にそれを取り上げてしまうことだ。セールスの最後のほうまで待つのではなく、真っ先に。

 欠点を最初に提示することによって、お客は初めに持っていた警戒心を解いてくれる

 信頼や敬意を抱いたお客はバリアが低くなる。そして、あなたの商品やサービスの本来の利点を受け入れようとしてくれるのだ

このように、みずから欠点を開示することによって、顧客からの信頼感を得ることができます。

もちろん、欠点はリカバーできるに越したことはありませんが、どうしてもリカバーできない欠点があり、かつその欠点に顧客が気づくことでなんらかのトラブルに発展する可能性があるのであれば、前もって開示しておくのが賢明であるといえるでしょう。

 

では、商品を売るという目的以外でも、この考え方はあてはまるでしょうか。投資家から資金調達を行うケースを見てみましょう。

次はこちらの書籍を参照します。タイトルは『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』です。

 誰かを説得するには長所を強調して短所を最小限に留めなければならない、と私たちの多くが思い込んでいるが、そのような強気のコミュニケーション法は、相手が支持してくれている場合にのみ効果を発揮する

 一方で、斬新なアイデアを売り込もうとする場合や、目上の相手に対してなんらかの変化を提案する場合には、相手が疑いの目をもつ可能性が高い。

 投資家はこちらの提案に何とかケチをつけようとするし、上司はこちらの提案がなぜうまくいかないのか、その理由を探そうとする。

 じつはその状況下では、(中略)みずからのアイデアの欠点を強調するほうが効果的なのだ。

著書では、欠点を強調するメリットとして、下記の4つを挙げています。

  1. 弱点を前面に出すことで、聞き手の警戒心がやわらぐ
  2. 自分を理知的に見せられる
  3. 信頼性が増す
  4. イデアそのものを好意的に評価してもらえる

1と3のメリットは、最初にご紹介した書籍と同じ内容ですね。

 

2のメリットについては少しご説明が必要かと思いますので、再度著書の内容を引用します。

 心理学者のテレサ・アマビールは、ある興味深い実験を行なった。

 被験者に、書評を書く人の知性と専門知識を評価してもらうのだ。実験の目的は、書評のトーンが変わると、その書評家に対する人々の評価が変わるかどうかを見ることにあった。

この実験では、批判的なトーンの書評と、称賛したトーンの書評それぞれに対する評価を比較しています。

どちらを書くにも同等の能力が必要とされる。しかし、批判的なトーンの書評家のほうが、称賛したトーンの書評家よりも、知性を一四パーセント高く評価され、文学的な専門性は一六パーセント高く評価されたのだ。

 つまり、悲観的なことをいうことで、頭が良いと思われるようになるのです。

 

次に、4のメリットについても解説します。

投資家や上司を説得するシーンにおいて、こちらの提案に疑いの目がむけられるのは冒頭に引用にてご説明したとおりですが、みずから欠点を強調することにより、相手の注意がその欠点のみに集中し、他の欠点を思いつきにくくなるという現象が起こります。

さらに、「悪い部分を伝える気があるのなら、よい部分もたくさんあるに違いない」と相手に思わせることができるので、結果として、好意的な評価を引き出すことができるのです。

 

いかがでしたでしょうか。相手に欠点を見せることは普通であればなかなか考えにくいですし、非常に勇気のいることかもしれません。

ですが、ここぞというときに欠点を強調することで説得を有利に進められるのであれば、説得のノウハウとしてうまく取り入れていきたいものです。

 

[参考文献]

 

不正行為の未然防止のメソッド。不正行為が行いやすくなる状況とその対策について

今回は不正行為が発生しやすいシチュエーションと、不正行為を未然に防ぐために対策についてお話ししたいと思います。

企業にとって、役員や従業員の不正行為を未然に防ぐことは重要な課題だと思います。一度不正行為が発生してしまうと、これまで築き上げてきた信用を失うばかりでなく、失った信用を取り戻すために多大な労力や時間をかけることとなります。

一般的に不正行為は、元々悪い意図(会社から資産を盗んでやろうという意図)を持った人が行うものと考えがちですが、実は悪い意図を持っていなくても、不正行為を行うことが可能な状況にある場合においては、善良な人々も不正行為に手を染めてしまう可能性があるということが研究によって明らかになっています。

今回は、善良な従業員がどのようなシチュエーションにおいて不正行為に手を染めやすくなるのかを解説し、どうすれば不正行為を回避することができるかについてお話ししたいと思います。

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変革を実現できない理由とその対応策

今回は「変革」というテーマでお話ししたいと思います。

以前に、従業員からの信頼を高めるための8つの方法をご紹介させていただきました。

 

 

私の記事をお読みいただき、早速実行に移していただいている企業の方もいらっしゃるかと思います。

ですが、実行しようとするとなかなか人が動いてくれないなど、思うように進まないということもあるかもしれません。

なかでも権限移譲については、移譲元のリーダーの側に問題があることで、うまく部下に権限移譲ができないことが多いようです。一般的に考えられるケースとしては、下記のようなものが考えられます。

  • リーダー自身が自分の方が仕事を早くこなせると思っているため移譲が進まない
  • 大量の仕事を抱え込みすぎていて、移譲するための時間を確保できない
  • 部下に対して力を貸して欲しいと頼めない

これは権限移譲が進まない状況に関する一例ですが、このように、組織に変革をもたらそうとする場合には個人または組織レベルで、現状にとどまる力が頻繁に働きます。

 

今回は、変わりたいと望んでいるのになぜ変わることができないのか、その理由をご説明するとともに、どうすれば人や組織に変革をもたらすことができるのか、その考え方について簡単に解説していきたいと思います。

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売れないラインナップ数。品揃えの数は多ければ多いほどよい、というわけではない。

今回は、品揃えの最適数についてお話ししたいと思います。

このブログをお読みいただいている企業の皆さんは、自社で販売する商品のラインナップ数をどのように決めていらっしゃいますでしょうか。

新商品を目立たせるために古い商品をラインナップから削除されているところもあれば、顧客の多様なニーズに応えるために、新商品が増えても古い商品を維持するというところもあるかもしれません。

後者についていうと、品揃えの数は可能な限り多い方が顧客にとって最良の選択肢を提供できるので良いのではないか、という考えもあるかもしれません。

確かに、1つだけの選択肢だけでなく複数の選択肢を提供することで顧客のニーズに応えていくという点においては正しいと思います。

しかし、人間の脳の処理能力には限度があり、あまりに膨大な選択肢を前にすると逆に選択する意欲を失ってしまう、というのが昨今の研究によって明らかになっています。

今回は、膨大な選択肢を提供することの弊害と、最適な選択肢、すなわち商品ラインナップ数について簡単に解説していきます。

参考文献は『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』です。

 

早速、品揃えに関する研究をご紹介していきます。

要旨としては、スーパーマーケットにジャムの試食コーナーを設置し、小さな品揃え(6種類)のジャムと大きな品揃え(24種類)のジャムのうち、どちらの品揃えのジャムが最も売れるかを調べたものになります。

まずは、それぞれの品揃えごとに、どれだけの顧客が試食コーナーに立ち寄ったかを見てみましょう。

別の研究助手、ユージーンが、試食コーナー近くの高級調理器具売場に張り込み、ここから入店者数と、ジャムの試食に立ち寄った客の人数をこっそり数えた。その結果、二四種類のときは、買い物客の六〇%が試食に立ち寄ったが、六種類のときは買い物客の四〇%しか訪れなかったことが判明した 

ここからわかることは、大きな品揃えの方が顧客の目を引くということになります。では、実際に購入に至った顧客はどのくらいの割合だったのでしょう。

六種類のジャムのうち、ジャムを購入したのは三〇%だったが、二四種類の試食の場合、実際にジャムを購入したのは試食客のわずか三%だったのだ。大きな品揃えの方が、買い物客の注目を集めた。それなのに、実際にジャムを購入した客の人数は、小さな品揃えの方が六倍以上も多かったのである。 

いかがでしたでしょうか。 今回はジャムという比較的身近な商品の事例でしたが、他にも選択肢が多すぎることで正常な判断ができなくなってしまうものもあります。代表的なのは自動車です。

皆さんはディーラーで自動車を買ったことはありますでしょうか(最近はそもそも自動車を買わないという方もたくさんいらっしゃいますが)。私も一時期、自動車関係の会社で勤めていたことがあるのですが、自動車を買うときは、車種やグレードだけでなく、色やホイールの種類、その他無数のオプションといった膨大な選択肢を検討する必要があります。

よって、一つの自動車を買うという決断に至るまでに、顧客は24種類のジャムどころではない選択肢を検討しなければならないのです。これに辟易してしまい、結果的にディーラーの営業担当に丸投げすることになるのです。

このように、膨大な選択肢は逆に顧客にストレスを与えるため、購入の決断を困難にしてしまいます。

企業の皆さんが商品ラインナップ数を検討される際には、なるべく小さな品揃え(多くても6種類前後)で顧客に選択肢を提供することが有効であるといえるでしょう。

 

[参考文献]

シーナ・アイエンガー 著,櫻井祐子 訳『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』

創造性を高めるための「先延ばし」の技法

今回は「先延ばし」についてお話ししようと思います。

一般的に「先延ばし」というと仕事ができない人のイメージがつきまとうかと思います。
私も実際に、タスクをずっと先延ばしする人と一緒に仕事をしたことがあるのですが、足並みが揃わず本当に大変でした。私は元来仕事の期限に怯えるタイプで、あまり先延ばしをしたがらない性格でしたので、しょっちゅうその人と衝突していました。笑

ですが、この「先延ばし」については、やり方次第でむしろ人間をクリエイティブにするのではないか、という研究がございましたので今回はそちらをご紹介していきたいと思います。

今回の記事は、企画業務など創造性が求められる職種の方にはご活用いただける内容かと思いますので、是非参考にしてみてください。

今回の参考文献は『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』です。

 

以下の引用は、ジヘ・シンという博士課程の学生の方が行った実験です。

 シンは学生たちに、大学のキャンパス内にあったコンビニエンス・ストアの跡地にできる、新しい事業の提案書をつくるように指示した。

 学生が課題を開始してすぐには、「別の新しいコンビニを導入する」というありきたりな提案をする傾向にあった。

 次に、無作為に選んだ被験者に課題を先延ばししてもらい、そのあいだに「マインスイーパ」「フリーセル」「ソリティア」などのコンピュータゲームをしてもらったところ、個別指導センターや倉庫などの、より目新しいビジネスアイデアが出されるようになった。

 さらには、最終的な提案書を第三者が評価した(彼らは被験者が課題を先延ばししたか、すぐにとりかかったかを知らされていない)。

 結果、先延ばしにした学生の提案書は、そうでない学生よりも二八パーセントも創造性が高いと評価された

いかがでしょうか。この先延ばしのポイントは、ゲームを行ったことではなく、意図的に課題のことを頭の片隅に置いておいたことにあります。

創造性を高めたのはゲームでも休憩でもないことがわかった。課題を知らされる前にゲームをした場合には、より斬新な提案がでたわけではなかったからだ。よりユニークな提案をするためには、頭の片隅に課題のことを置きながらゲームをして、先延ばしにする必要があったのだ。

 

このブログをお読みになっている皆さんも、こんなご経験はないでしょうか。

新しいアイデアが求められる状況のときに、その場ではいくら考えても思い浮かばなかったことが、少し時間をあけた後に考えると急に絶妙なアイデアが思い浮かんだり、といった感じです(たいていはお風呂でアイデアを思いつくことが多いみたいですね)。

 

先延ばしは、業務効率の観点からするとあまり良くない習慣ですが、創造性の観点では魅力あるメソッドだと思います。企業の業務に落とし込むのであれば、定型業務はなるべく効率を優先し先延ばしをしないようにする、企画や業務改善といった非定型業務はなるべく期日にゆとりを持たせて意図的に先延ばしできるようにしていく、といったように、バランス感をもたせた上で取り入れていくのが良いと思われます。

 

[参考文献]

アダム・グラント 著,楠木建 監訳『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』

従業員からの信頼を高め生産性を向上させるための8つの要素

今日は「信頼」というテーマでお送りしたいと思います。

仕事を進める上で、チームのメンバーと信頼関係を築くことは非常に重要ですね。もし敵対した関係ですと、お互い気まずい状態になり、仕事をスムーズに進めることが難しくなります。

実はこの「信頼」については科学的に研究が進んでおり、従業員の信頼度の高い企業ほどより生産性が高いという結果が示唆されております。

今回は、信頼に関連する脳内物質について触れた上で、どうすればその脳内物質を増やし、信頼度を高めることができるかについて簡単にお話ししたいと思います。

参考文献は『トラスト・ファクター 最強の組織をつくる新しいマネジメント』です。

 

信頼を育む脳内物質オキシトシン

著書の中では、信頼度を高めるにあたり脳内物質のオキシトシンが深く関連していると述べます。一般的にオキシトシンは愛情ホルモンと呼ばれていますが、著書では「モラル因子」という用語で説明され、このホルモンが分泌されることで他者との共感が高まり、相手のことを大切に思うようになります。これが、信頼度の向上に大きく寄与するというのです。

 

著書では、このオキシトシンの分泌を促し、信頼を高めるための因子として下記の8つをあげています(以下、著書からの引用)

  • オベーション(Ovation)
  • 期待(eXpectation)
  • 委任(Yield)
  • 委譲(Transfer)
  • オープン化(Openness)
  • 思いやり(Caring)
  • 投資(Invest)
  • 自然体(Natural)

以上、8つの太字部分をとって「OXYTOCIN」と呼ばれています。

著書では、このOXYTOCIN因子を高めることで信頼度を向上させることができると述べます。

上記の内容を全て説明すると非常にボリュームが大きくなってしまうため、それぞれ簡単にどのようなものかについて触れた上で、私が「これはすぐに使えそうだな」と感じたものについてお伝えしたいと思います。

 

まず、オベーションですが、これは一言で申し上げると「良い仕事をしたら称賛しましょう」ということです。たまにひどい職場ですと、従業員が仕事をミスしたときに周りに人がいる状態で大きな声で叱責したりするところがありますが、こういうことをされると嫌な気持ちになりますよね(というかこれは完全にパワハラですね)。逆です。良い仕事をしたらみんなの前で称賛するのです。これだけで、称賛された従業員のモチベーションが高まることがご想像いただけると思います。

 

次に、期待ですが、これは仕事を依頼する相手に対して、具体的な役割や課題を与えるということです。以前ご紹介した「役割の明確化の考え方に近い概念になりますので、よろしければ過去の記事をご参照いただくとわかりやすいかと存じます。

(役割の明確化に関する記事はこちら

 

委任は、従業員に仕事の進め方についてコントロール感を持たせることです。対の概念で「マイクロマネジメント」がありますが、仕事の進め方について細かく指示出しされると、従業員は「自分がコントロールされている」と感じ、仕事の生産性に留まらず心身へ悪影響を及ぼします。マイクロマネジメントは私も受けた経験がありますが、何も自分で決められないというのは非常にストレスでした。なので、ある程度仕事の進め方について裁量を持たせるのは、従業員のモチベーションを高める上で重要といえるでしょう。

 

委譲は、「委任」をより強化したものです。著書の言葉を引用させていただくと「自分の仕事をいつ、どこで、どのように行うか自由に選ぶことができる」というものです。

 

オープン化は、情報公開のことをいいます。決算情報や企業にとって重要な情報をあえて従業員に対してオープンにすることで、従業員は「自分が信頼されている」と感じるため、信頼度が高まるのです。

 

思いやりは、読んで字の如くです。わかりやすい例ですと、日頃から上司が部下に対して気遣いの言葉をかけていることや、従業員同士がお互いに感謝しあえている環境であれば、その職場は思いやりのある職場だといえるでしょう。著書では、思いやりを「従業員一人ひとりを、独特の癖や才能を持つかけがえのない個人として受け入れる」状態であると述べられております。

 

投資は、従業員のスキル開発の機会確保や福利厚生の充実といったものになります。コストはかかりますが、スキル開発といった教育は従業員の成長実感を促すことができるため、従業員満足度を高めるのに有効といえるでしょう。

 

自然体は、リーダーの資質に関するもので、部下に対してある程度の弱みを見せることができるかということです。弱々しいリーダーですと頼りないですが、常に強気で自信満々なリーダーもちょっと近寄りがたいですね。有能なリーダーでも、少し弱みを見せることで部下と同じ人間であるということを示すことができ、結果として部下からの信頼度を高めることにつながります。

 

まずはオベーションと思いやり

以上、OXYTOCIN因子について簡単にご説明させていただきました。上記は全て従業員からの信頼度を高めるために重要であるといえますが、一度に全て行うのはコストもかかりますし、なかなか現実的ではないと思います。

上記のうち「オベーション」と「思いやり」については、全く費用も手間もかからないため、どの企業でもすぐに実践することができるでしょう。

簡単なことから始めることで徐々に従業員の方の信頼を高め、権限の委譲や教育への投資を試していただくと良いのではないかと思います。

 

[参考文献]

ポール・J・ザック 著,白川部君江 訳『トラスト・ファクター 最強の組織をつくる新しいマネジメント』