グランディングパートナーズ|Grounding Partners

中小企業診断士DHが運営するブログです。「仕事」と「幸福」を主軸に、どうすれば経営者と従業員の方が幸せに、かつ生産性を高めて働くことができるかについて、その知識や知見を数々の文献を参照しながらご紹介していきます。

不確実な状況を生きる上で大切にしたいこと

最近VUCAという言葉が流行っていますね。

  • Volatility=変動
  • Uncertainty=不確実
  • Complexity=複雑
  • Ambiguity=曖昧

この頭文字をとった造語らしいですが、確かに企業のビジネスモデルや私たちのライフスタイルは多様化してきており、いよいよこの先何が起こるのか誰にも予測できなくなっている、そんな時代に私たちは生きているということなのでしょう。

このように不確実性が高まっている状況においては、私たちはつい何が正解かを追い求めて、経済の専門家が「この先の日本経済はこうなる!」と言っていることを闇雲に信じてみたり、周りの身近な人の行動を真似したりすることで、安心材料を探してしまいがちになるのではないかと思います。

不確実性が高い状況は、私たちにかなりのストレスをもたらしますが、このような状況であるからこそ、周りの正解(らしきもの)に流されることなく、自分だけの答えを持つことが必要であるように感じます。

 

今回は、心理学のトピックから少し離れて、次にご紹介する書籍から私が気づいた点をお話ししたいと思います。

文献は『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』です。

 

早速ですが、次のリンク先の絵画を見てみてください(書籍でも紹介されている作品です)。そして、簡単な感想をノートか何かに書き出してみてください。直感で構いません。

www.moma.org

 

いかがでしたでしょう。私の初見の感想は、

鳥の糞を敷き詰めたみたいだな

でした。超失礼ですね。

 

実はこの絵画、世の中では20世紀を代表するアートとして知られています。

この絵画がなぜ20世紀を代表するアートたらしめているのか、作者が何を意図して描いたのか、などについては書籍をご参照いただければと思いますが、おおよそこの作品からわかることは、「この絵が何を表現しているのかがわからない」ということだと思います。

 

では、皆さんにご質問です。

絵とは、表現しているものが何であるかが明確にわかることが必要だ」と思いますか?

この問いのなかにこの作品の狙いがあるように思います。

つまり、この作品は「何を表現しているのかを私たちの頭で考えさせようとしている」ものなのではないか、という考察が成り立つのです。

 

私は直感的に「鳥の糞を敷き詰めたみたいだな」と思いましたが、少し頭を働かせて、もっと違う視点でこの作品を捉えることはできないかを考えました。

私の次の答えはこうです。

現在の不確実で混沌とした状況(VUCA)のメタファーなのではないか

つまり、この作品が表現しているのは、私たちが生きている世の中そのものなのではないかということです。

 

もちろん、上記の答えが作者の意図したものかどうかはわかりませんし、この答えが正しいかはわかりません(そもそも、正しいか正しくないかという論点はほとんど意味をなしません)。

このように、ひとつの美術作品から複数の答えを考える作業は、不確実な現実において、自分なりの生き方を探す作業に似ていると思います。

この考え方を著書では「アート思考」と呼ばれています。定義を著書から引用します。

アート思考とは「自分の内側にある興味をもとに自分のものの見方で世界をとらえ、自分なりの探究をし続けること」だといえるでしょう。

 

不確実性が極めて高い現代社会においては、他から得た知識だけでなく、自分なりの見方や考え方を持つことがより重要になってくるかもしれません。

皆さんも休日は美術館に足を運び、アート思考で作品を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 

[参考文献]

末永幸歩 著,佐宗邦威 解説『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』