成果を上げられるチームはリーダーがアレをしている
今回はチームワークについてお話ししたいと思います。
個人的に仕事は一人で全て完結できればとてもやりやすいとは思うものの、現実ではなかなか一人で完結できる仕事は少なく、必ずといっていいほど他の誰かと協力して仕事を進めることになりますよね。
会社という大きな組織になってくると、上記の協力関係はより形式化していきます。仕事の種類ごとにチームが組成され、それぞれのチームでリーダーをアサインし、組織として成果を上げていくことになります。
では、チームにおけるリーダーの役割とはなんでしょうか? 部下の誰よりも仕事ができることでしょうか? 部下に対して常に適切な指示を与えることでしょうか?
世の中には、リーダーの役割について実に多様な見解が存在するため、何が正しいか正しくないかについては、それぞれのチームの状況に合わせてご判断いただくのが良いと思いますが、個人的な見解としましては、リーダーの役割は、部下との間に相互の支援関係を構築することだと考えています。
今回は、上記のリーダーの役割について具体的に解説するとともに、このリーダーの役割がチームワークにどのように影響するかについて述べたいと思います。
参考文献は『人を助けるとはどういうことか ー 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』です。
まずは、成果を上げるチームとそうではないチームの違いについて事例をご紹介します。
新しい低襲性の心臓外科手術[低襲性の手術とは、内視鏡手術や血管内手術を代表とする、従来予知も侵襲(体に対する負担)の少ない手術のこと]を行う外科チームでは、外科医も麻酔医も、他のメンバーも絶えず互いにコミュニケーションをとって、それぞれ信頼することが必要である。
エイミー・エドモンドソンはそうした外科チームを一六チーム研究し、七チームは成果を上げ、その手術方法をとり続けているが、あとの九チームは安心感を育てられずに、その手術方法を断念したことを発見した。違いはどこにあったのだろうか。成功したチームは、支援が必要であると初めから認識し、チームの他のメンバーと合同トレーニングを行うことに同意した外科医たちによって始められたものだった。このため、チームのメンバーは自分の役割を最後まで果たし、公平な人間関係を育てることができた。
外科手術において、外科医はチームのリーダーです。その外科医が互いの支援が必要であることを認識し、相互の支援関係を育てることで成果を上げることができました。
一方、成果を上げられなかったチームはどうでしょう?
成功しなかったチームは、自分を主役と見なす外科医たちによって始められたものだった。そうした外科医はチームのほかのメンバーを、単に仕事をする「スキルを備えた補助スタッフ」として扱った。
つまり、成果を上げられなかったチームは、お互いの信頼関係を築き、支援関係を作り上げる工程を無視し、互いの専門スキルにだけ頼ってしまったため、結果として失敗してしまったのです。
この事例からどのような教訓が得られるでしょうか。
昨今は、コロナの影響で社員同士が直接顔を合わせる機会が減っているため、社員同士の交流が減少し、信頼関係を築くのがより難しくなっていると思います。
特に、中途社員として新たに採用された場合は即戦力として期待されることが多いと思いますが、このような状況において、新しく入社した社員に対して専門スキルにだけ頼って仕事をさせるのは非常に危険な行為であるといえます。
チームのリーダーは、メンバー同士の交流を促すことで、相互に信頼関係を築き、相互支援の関係を作り上げることが重要となるでしょう。
チームのメンバーは、自分の役割を認識し、自分のことを「取り替え可能な資源としてではなく、貢献している欠かせない人間」として扱われることで力を発揮します。
是非、リーダーの方は、
- 部下に支援を提供すること
- 部下から支援を受けること
- 部下同士の支援を促すこと
これらを念頭に置いていただき、チームビルディングに役立てていただければと思います。
[参考文献]
エドガー・H・シャイン 著,金井真弓 訳,金井壽宏 監訳『人を助けるとはどういうことか ー 本当の「協力関係」をつくる7つの原則』